除菌・洗浄力のある電解水
電解水とは、水道水に微量の塩を投入し、電解水生成装置と呼ばれる特殊な機械によって「酸性電解水」と「アルカリ性電解水」に分離したものの事を言います。
水道水と違い、除菌・洗浄効果が高まるため、洗剤を使用しない、もしくは微量の洗剤だけでも衣類を綺麗にすることができるというものです。
電解水洗濯機の効果
電解水には強力な除菌・洗浄効果があり、洗濯機だけではなく、業務用の食器洗浄機や、食品工場での食品殺菌剤としても使用されています。
アルカリ性電解水、酸性電解水それぞれの効果について解説してみたいと思います。
アルカリ性電解水
アルカリ性電解水には、たんぱく質や油脂などの有機物を乳化させる作用があり、衣類に付着した汚れを溶かして洗い流す事ができます。
酸性電解水
酸性電解水に含まれる次亜塩素酸には高い殺菌力があり、殺菌・脱臭・漂白効果があります。また、殺菌速度が非常に早く、短時間での洗濯を可能にします。
電解水の作り方
電解水を作るには、電解水生成装置と呼ばれる専用の機械を使用します。水道水に少量の食塩を加え、二層に分けた水道水にそれぞれプラスの電極とマイナスの電極を当てることで酸性、アルカリ性に分離させる仕組みです。
濃度によっては強力になりすぎてしまい、衣類の色落ちに繋がる可能性があります。そこで、常に濃度を計測し、電極に流す電量の調整を行うことで適切な濃度に調整します。
装置さえ用意してしまえばあとは自動的に生成し続けられるため、あとは洗濯機を回すだけでで殺菌・洗浄能力のある電解水が衣類を綺麗にしてくれます。
電解水洗濯機における課題
殺菌・洗浄効果があるのであれば、一般家庭の洗濯機にも採用されるのでは?という疑問が湧いてきます。
ご存知かもしれませんが、一時期洗剤のいらない洗濯機として一般家庭用の電解水洗濯機が出回った時期がありました。
洗剤のいらない洗濯機?
電解水洗濯機は、2000年頃から三洋電機が開発し、2001年8月に発売された洗濯機にて採用された技術です。
「洗剤ゼロコース」という、洗剤を使わず電解水の洗浄力のみを使用したコースを搭載しており、洗剤のいらない洗濯機として世に広まりました。
ただ、実際に使用した人たちから上がった声として「使ってみたが思ったように汚れが落ちない」「普通の水だけで洗っているのと大差が無い」というものがあったのも事実です。
そのため、「電解水は効果が無い」というイメージが定着してしまい、その後別の商品を販売しようとしてもなかなか売れないという状態になってしまいました。
電解水生成技術の進歩
なぜ思うように洗浄効果が得られなかったのかと言えば、電解水生成の技術の問題でした。
理論上は、アルカリ性電解水には脂質・たんぱく質を分解する効果がありますし、酸性電解水には除菌・脱臭・漂白効果があります。
しかし、電解水の濃度が薄ければ効果も薄まります。逆に、濃度が濃すぎると色落ちなどが起こります。ということは、本当に洗剤のいらない洗濯機を実現するためには、電解水の濃度を最適に保つ技術が必要です。
業務用分野での活用
電解水を最適な濃度に保つためには、ある程度大型の電解水生成装置が必要になります。一般家庭向けの洗濯機では、このような大型の装置を取り付ける事が難しいわけです。
であれば、コインランドリー等に使われる業務用洗濯機に電解水を採用しようということになります。コインランドリーであれば、一台の大型電解水生成装置で生成した電解水を複数台の洗濯機で使用することができます。
また、高品質な電解水生成装置はそれなりの金額が掛かってきます。こうしたものを一般家庭用に作っても、普及価格帯での販売は難しいのです。
コインランドリーであれば、一台の洗濯機を多くの人が利用するため、一回の利用あたりの電解水生成装置費用を考えても微々たるものになります。そのため、コインランドリー等の業務用洗濯機にて電解水という技術が採用されています。